※社員の役職などは掲載時のものです。
生活こそまさにリハビリ
伊藤さん(仮名)にはじめて出会ったときは、右上下肢の麻痺以外に腰痛があり、寝たきりの状態で、褥瘡発生が心配される状況でもありました。
福祉用具の検討のために訪問し、話しかけると「もう何もできないのよ・・・」と涙まじりに話され、どのように声をかけたらよいかをためらうくらい、気持ちの落ち込みが感じ取れました。
「今は少しでも身体を動かしやすくしましょう。床ずれにもならないように、いいマットレスを家族様と相談します。伊藤さんが元気になるお手伝いをさせていただきます」と声がけし、生活・介護環境の整備、床ずれ予防を目的に電動ベッド(頭、足、高さが別々に動かせるタイプ)、マットレス(体圧分散効果あり)、ベッド柵を検討させていただきました。搬入当日は動けない伊藤さんを布団ごと部屋移動し、ベッドを組み立てたことを覚えています。
その後は定期点検ごとにお会いすることとなりましたが、徐々に伊藤さんの様子が変化していきました。私は毎回、伊藤さんが行っていることをしっかりと受けとめ、言葉で返していくよう意識しながら接しました。
初回は、ベッドに横になっている伊藤さんに話しかけながら、私がベッドのスイッチを操作していました。2回目の点検では腰痛が軽減しており、徐々にベッドの上体を上げて過ごすことが増えている頃だったので、「手の運動にもなりますから、ボタン押してみましょう!」と声を掛け、ベッドに寝ている伊藤さんにスイッチを操作してもらいながら点検することができました。
「邪魔になるだろうから、こっちに移るからね」。3度目の点検で伊藤さんからこんな言葉が出てきました。自らポータブルトイレへ移乗してくれたのです。「ベッドから離れられるようになったのですねー!」と話しかけると、「うん?そうねぇ」と照れ気味の伊藤さん。
ある時、下肢を負傷し、歩行が難しくなり、車いすで生活される時期がありました。「足が痛いうちは車いすに助けてもらって動きましょう。でも伊藤さんの片手足は動かせます! 自分で操作しやすい車いすが合っていると思います」。それまでの伊藤さんのやってきたことから車いす自操は充分できるであろうと考え、自操型車いすと姿勢保持用クッションを検討し、車いすでトイレまでいけるように動線を見直しました。
導入当時は介助されてトイレまで行かれることが多かったのですが、ふた月もたった頃の訪問で、自分で車いすを操作しトイレから戻ってくる姿を目にしたのです。
「!」
私は思わず伊藤さんと家族様に向かって、拍手しながら喜んでいました。家族様は私と同じように拍手で返してくださいました。伊藤さんは、自然に「自分のことだからねぇ・・・」と、ごく自然に笑顔で話されていました。
私は伊藤さんとのかかわりを通して、毎日の生活そのものがリハビリであるということを再確認することができました。「できるところはご自分で、できにくいところを福祉用具の力を借りてできるようにするお手伝いをさせて頂きます。本人様も、家族様も、笑顔で過ごせるようなお手伝いをさせて頂きたいと思っています」。私が契約時に話す言葉です。福祉用具を使えば、できにくいこともできるようになることがいっぱいあり、生活する意欲にも繋がっているとも思います。
伊藤さんとの関わりを忘れることなく、情報を発信し続けられる自分でありたいと思っています。
